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女性では50歳までに大腸カメラを受けていれば大腸がんのリスクが低下する!


いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。

日本人のがんによる死亡数で大腸がんは女性では第1位、男性では第2位と報告されているということはブログで何回か説明してきました。
(こちらを参照ください)

今回は「女性では大腸カメラを50歳までに受けておけば、大腸がんのリスクが下がる」というアメリカからの論文を紹介したいと思います。

【増えている女性の大腸がん】
大腸がんは、日本人女性における「がんによる死亡原因」の第1位に位置する深刻な病気であり、乳がんや肺がんと並び、女性にとって大きな健康課題となっています。
とくに40~50歳代の比較的若い世代でも発症が増えており、「自分にはまだ早い」と思っている間に進行してしまうケースが少なくありません。
こうした中、海外の大規模研究で
「女性は50歳になるまでに大腸カメラを受けていると、大腸がんの発症リスクが有意に低下する」
という注目すべき結果が発表されました。

【論文で示された研究結果】
アメリカの有名な疫学研究「Nurses’ Health Study」と「Health Professionals Follow-up Study」を含む大規模追跡調査(BMJ 2021年など)で10万人以上の男女を対象に長期間の健康状態を追跡しました。
その解析によると、
• 50歳以前に大腸カメラを受けた女性は、受けていない女性と比べて大腸がんの発症リスクが 大幅に低下
• 特に 左側結腸(下行結腸・S状結腸)や直腸のがんのリスク低下効果 が明確
• ポリープが見つかって切除されたケースでは、後のがん発症がさらに減少
という結果が報告されています。
このように、単に「早く見つける」だけでなく、大腸カメラによってポリープを切除することが、大腸がんの予防そのものにつながることが示されました。

【なぜ女性に有効なのか?】
女性は男性に比べて、ホルモンの影響や腸の長さの違いなどから、がんの発生部位や進行の仕方が異なる傾向があります。さらに、女性は閉経前後でホルモン環境が変化し、それが腸内環境や発がんリスクに影響する可能性もあります。
研究では、女性が比較的若い時期(40代など)に大腸カメラを受けておくと、その後10年以上にわたってリスクが下がるというデータも得られています。
これは「予防医学」の観点から非常に意義深いものです。

【日本のガイドラインとの違い】
日本では、国のがん検診として 40歳以上を対象に便潜血検査 が推奨されています。
しかし、便潜血検査は簡便ではあるものの「早期がんやポリープを見逃す可能性がある」ことが課題です。
一方、大腸カメラ は、腸の中を直接観察でき、がんやポリープをその場で発見・切除できるため、「診断と予防」を同時に行える唯一の方法です。
海外の研究が示すように、特に女性では50歳になる前の段階で一度は受けておくことが望ましいと考えられます。

【具体的におススメしたい人】
• 40代以上の女性で、まだ一度も大腸カメラを受けていない方
• 家族に大腸がんの既往がある方(遺伝的リスクが高い)
• 便秘や下痢、血便、体重減少など腸の症状が気になる方
• 肉類・加工食品を好む食生活の方
これらに該当する場合は、受診をおススメします。

【大腸カメラはつらくない?】
「大腸カメラは苦しいのでは?」という不安を持つ方は少なくありません。
しかし近年は、
• 細径スコープの普及
• 鎮静薬の使用による苦痛軽減
• 炭酸ガス送気によるお腹の張り軽減
といった技術の進歩で、以前に比べて格段に楽に受けられるようになっています。
当院でも患者さんの負担を最小限にする工夫を行っています。

【まとめ】
今回は
女性が50歳になるまでに大腸カメラを受けていれば、大腸がんの発症リスクを大きく減らせる
というアメリカからの研究結果を紹介しました。
特に40代のうちに一度は検査を受けておくことが、その後の人生にわたる安心につながります。
「まだ若いから大丈夫」と思っている方ほど、ぜひ検査を検討してください。
大腸カメラは「病気を早く見つける」だけでなく、「病気になる前に防ぐ」ための強力な手段なのです。
当院では女性の方にも安心して受けていただけるよう、レディースデーを含めた様々な工夫を行っていますので、気になる方はお気軽にご相談ください。

いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医
総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医