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処方せんにも処方薬にも使用期限があります


いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。

医療に関わる日常の中で、「処方せん」や「処方薬」の取り扱いについて、意外と知られていないルールや注意点があります。
今回は、患者さまが安心して治療を続けていただけるように「処方せん」と「処方薬」それぞれの使用期限について詳しくご紹介します。

1. 処方せんの使用期限とは
医師から処方せんを受け取った後、その処方せんを薬局に提出しなければ薬を受け取ることはできません。
ここで重要になるのが「処方せんの有効期限」です。
日本における処方せんの有効期限は、交付日を含めて4日以内と法律で定められています。
たとえば月曜日に処方せんを発行された場合、その日のうちを含めて木曜日までに薬局に提出しなければなりません。
なぜ期限があるのかというと、患者さまの体調や症状は日々変化しており、古い処方が必ずしも現在の状態に適しているとは限らないからです。
医師が診察したその時点での状態を前提に処方しているため、時間が経ちすぎると安全性が担保できなくなるのです。

2. 処方せんの期限を過ぎた場合どうなる?
もし4日を過ぎてしまうと、薬局では処方せんを受け付けられません。
その場合は再度クリニックを受診して、新しい処方せんを発行してもらう必要がありますが、残念ながらその場合では保険は適用されず、処方せん料に関しては自費での支払いとなります。
(お薬代は保険が適用されます)
この金額自体は大きな額ではありませんが、不必要な出費ではあります。
従って、処方せんは余程の理由がないかぎり、同日に薬局でお薬の調剤をしてもらうことをおススメします。
(連休前に処方箋を受けた場合は薬局さんもお休みのことがほとんどですので特に注意が必要です)
「少しの遅れなら大丈夫では?」と思われる方もいますが、薬局側は法律に基づいて業務を行っているため、期限切れの処方せんを受け付けることはできないのです。

3. 処方薬の使用期限について
次に、処方薬そのものの使用期限についてです。
薬局から渡されるお薬は、薬の種類や形態(錠剤、カプセル、粉薬、シロップなど)によって使用期限が異なります。
一般的には、未開封の状態であれば製造から数年の使用期限が設定されていますが、患者さまに渡る段階では必ずしもそのままの期限が適用されるわけではありません。
薬局で一包化されたり、シロップが分包されたりした場合、保存条件や調剤方法によって使用期限は短くなります。
• 錠剤・カプセル:湿気や直射日光を避ければ比較的安定しており、数か月から1年程度は品質が保たれることが多い。
• 粉薬・シロップ:水分や湿気に弱く、開封後は1~2週間以内に使い切るよう指示される場合が多い。
• 点眼薬:一度開封したら約4週間以内に使い切る必要がある。細菌の混入リスクがあるためです。

4. 処方薬の保存方法にも注意
薬の使用期限は「保存状態」に大きく左右されます。
例えば夏場の高温多湿な場所に置いた場合、錠剤が変色したり粉薬が固まったりすることがあります。
また、冷蔵保存が必要な薬を常温に放置してしまうと、効力が落ちるだけでなく副作用のリスクが高まる可能性もあります。
薬局から薬を受け取る際には、必ず薬剤師から保存方法の説明があります。
その指示を守り、冷暗所や冷蔵庫など適切な場所に保管することが大切です。

5. 余った薬は自己判断で使用しない
時折、「前に同じ薬をもらったから」といって、余っている薬を自己判断で再使用される方がいます。
しかしこれは勧められません。
同じ病名でも症状の程度や体調、他に服用している薬との相互作用によって処方内容は変わります。
古い薬を再度使うことで、思わぬ副作用や治療効果の低下を招く恐れがあります。
余った薬がある場合は、次回受診時に医師に相談してください。
また、余った薬を使用期限が切れていなくても他の人にあげることは避けてください。
麻薬成分を含む薬や向精神薬は、誤って他の人が服用すると重篤な症状が現れる可能性があります。
また、その薬にアレルギーの成分が含まれているかもしれません。

6. まとめ
• 処方せんの有効期限は交付日を含めて4日間。期限が過ぎると薬局では受け付けてもらえません。
• 処方薬にも使用期限がある。薬の形状や保存状態によって大きく変わるため、薬剤師の説明を守りましょう。
• 余った薬の自己判断での使用は危険。必ず医師・薬剤師に相談してください。

以上、今回はお薬に関する期限について解説しました。
高血圧や糖尿病、高コレステロール血症などの慢性疾患で定期的にお薬を内服されている方は診察時に残薬があれば、遠慮なく申し出てください。(誰でも飲み忘れはありますので、決して叱責したりはしません)
次回の予約日までの日数から残薬数を差し引いて処方致しますし、薬局でも薬剤師さんが調整をしてくれます。

いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医、総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医

血圧や高コレステロール血症などで病状が安定している方には、当院では2~3か月となるべく長期処方を心がけています