ソーセージやベーコンの食べ過ぎは大腸がんのリスク因子?! ~50歳以下の若年発症大腸がんの研究結果にて~
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。
皆さん、ソーセージやベーコンは好きですか?
自分もよく食べるのですが、食べ過ぎは注意!という内容を今回はお届けしたいと思います。
近年、日本を含む先進国で「50歳未満の大腸がん(若年発症大腸がん)」が増加していることが注目されています。
従来、大腸がんは高齢者に多い病気と考えられてきましたが、生活習慣の変化、とくに食生活の欧米化がその背景にある可能性が指摘され、その中でも特に注目されているのがソーセージやベーコンといった加工肉や牛肉や豚肉といった赤身肉なのです。
【若年発症大腸がんとは】
大腸がんは、日本で男女合わせて年間15万人以上が診断される非常に一般的ながんです。
以前は60~70歳代での発症が多かったのですが、近年は50歳未満での発症が少しずつ増えてきています。
これを「若年発症大腸がん」と呼び、アメリカやヨーロッパでも同様の傾向が報告されています。
若年発症大腸がんは進行してから見つかることも多く、社会的にも家庭的にも影響が大きいため、その原因解明と予防が重要視されています。
実際、当院でも30歳代での大きな大腸ポリープや40歳代での大腸がんを診断しています。
【赤身肉・加工肉と大腸がんの関連】
世界保健機関(WHO)の下部機関である国際がん研究機関(IARC)は、2015年に「加工肉を発がん性(グループ1)」、また「赤身肉をおそらく発がん性(グループ2A)」と分類しました。
• 加工肉:ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミなど
• 赤身肉:牛肉、豚肉、羊肉など(鶏肉や魚は含まれません)
これらを多く食べる人では、大腸がんのリスクが上がることが多くの研究で報告されています。
加工肉は保存や味付けの過程で 発がん性物質(ニトロソ化合物など) が生じ、赤身肉も高温調理で ヘテロサイクリックアミン や 多環芳香族炭化水素 などが発生することが知られているのです。
【若年発症大腸がんと食生活の研究結果】
アメリカで実施された大規模コホート研究では、50歳未満で大腸がんを発症した人の食生活を解析した結果、赤身肉や加工肉を多く食べていた群ではリスクが高い ことが明らかになっています。
とくに、ファストフードや加工肉を中心とした食習慣は、若年大腸がんのリスク増加と関連していました。
一方で、野菜・果物・食物繊維の摂取が少ないことも共通しており、食生活の偏りが腸内環境を悪化させ、発がんリスクを高めていると考えられています。
【日本における現状】
日本でも食生活が欧米化し、赤身肉や加工肉の摂取が増加しています。
厚生労働省の食事調査でも、肉類摂取量は年々増加傾向にあり、特に若い世代では魚より肉を好む傾向が強くなっています。
そのため、日本でも若年発症大腸がんの増加に食生活が関与している可能性が高いと考えられています。
【どのくらい食べるとリスクが上がる?】
IARCの報告によると、
• 加工肉を毎日50g(ソーセージ2本、ベーコン数枚程度)摂取すると大腸がんリスクが約18%増加
• 赤身肉を毎日100g以上摂取するとリスクが上昇
とされています。これは「全く食べてはいけない」という意味ではありませんが、摂取量が多いほどリスクが上がる“量依存性”があるため、食べすぎない工夫が必要です。
【予防のためにできること】
1. 肉の量を適度に
赤身肉や加工肉を控えめにし、鶏肉や魚、大豆製品をバランスよく取り入れましょう。
2. 食物繊維をしっかり摂取
野菜、果物、海藻、きのこ、穀物の食物繊維は腸内環境を整え、大腸がんのリスクを下げることが知られています。
3. 運動習慣を持つ
週150分程度の適度な運動は、大腸がん予防にも効果的です。
4. 飲酒と喫煙を控える
アルコールや喫煙も大腸がんのリスク因子です。
5. 検診・内視鏡検査を受ける
若年であっても血便、便秘や下痢の持続、原因不明の体重減少などがある場合は、早めに内視鏡検査を受けることが大切です。
【まとめ】
赤身肉や加工肉はおいしく手軽に食べられる食品ですが、食べすぎることで大腸がん、とくに若年発症大腸がんのリスクを高めることが研究で示されました。
大切なのは「完全に避けること」ではなく、バランスよく、適量を守ること です。
当院では大腸カメラを通じて、ポリープの段階での早期発見・治療を行っています。
赤身肉や加工肉をよく食べる方、ご家族に大腸がんの既往がある方、便通異常など気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医、総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
皆さん、ソーセージやベーコンは好きですか?
自分もよく食べるのですが、食べ過ぎは注意!という内容を今回はお届けしたいと思います。
近年、日本を含む先進国で「50歳未満の大腸がん(若年発症大腸がん)」が増加していることが注目されています。
従来、大腸がんは高齢者に多い病気と考えられてきましたが、生活習慣の変化、とくに食生活の欧米化がその背景にある可能性が指摘され、その中でも特に注目されているのがソーセージやベーコンといった加工肉や牛肉や豚肉といった赤身肉なのです。
【若年発症大腸がんとは】
大腸がんは、日本で男女合わせて年間15万人以上が診断される非常に一般的ながんです。
以前は60~70歳代での発症が多かったのですが、近年は50歳未満での発症が少しずつ増えてきています。
これを「若年発症大腸がん」と呼び、アメリカやヨーロッパでも同様の傾向が報告されています。
若年発症大腸がんは進行してから見つかることも多く、社会的にも家庭的にも影響が大きいため、その原因解明と予防が重要視されています。
実際、当院でも30歳代での大きな大腸ポリープや40歳代での大腸がんを診断しています。
【赤身肉・加工肉と大腸がんの関連】
世界保健機関(WHO)の下部機関である国際がん研究機関(IARC)は、2015年に「加工肉を発がん性(グループ1)」、また「赤身肉をおそらく発がん性(グループ2A)」と分類しました。
• 加工肉:ハム、ソーセージ、ベーコン、サラミなど
• 赤身肉:牛肉、豚肉、羊肉など(鶏肉や魚は含まれません)
これらを多く食べる人では、大腸がんのリスクが上がることが多くの研究で報告されています。
加工肉は保存や味付けの過程で 発がん性物質(ニトロソ化合物など) が生じ、赤身肉も高温調理で ヘテロサイクリックアミン や 多環芳香族炭化水素 などが発生することが知られているのです。
【若年発症大腸がんと食生活の研究結果】
アメリカで実施された大規模コホート研究では、50歳未満で大腸がんを発症した人の食生活を解析した結果、赤身肉や加工肉を多く食べていた群ではリスクが高い ことが明らかになっています。
とくに、ファストフードや加工肉を中心とした食習慣は、若年大腸がんのリスク増加と関連していました。
一方で、野菜・果物・食物繊維の摂取が少ないことも共通しており、食生活の偏りが腸内環境を悪化させ、発がんリスクを高めていると考えられています。
【日本における現状】
日本でも食生活が欧米化し、赤身肉や加工肉の摂取が増加しています。
厚生労働省の食事調査でも、肉類摂取量は年々増加傾向にあり、特に若い世代では魚より肉を好む傾向が強くなっています。
そのため、日本でも若年発症大腸がんの増加に食生活が関与している可能性が高いと考えられています。
【どのくらい食べるとリスクが上がる?】
IARCの報告によると、
• 加工肉を毎日50g(ソーセージ2本、ベーコン数枚程度)摂取すると大腸がんリスクが約18%増加
• 赤身肉を毎日100g以上摂取するとリスクが上昇
とされています。これは「全く食べてはいけない」という意味ではありませんが、摂取量が多いほどリスクが上がる“量依存性”があるため、食べすぎない工夫が必要です。
【予防のためにできること】
1. 肉の量を適度に
赤身肉や加工肉を控えめにし、鶏肉や魚、大豆製品をバランスよく取り入れましょう。
2. 食物繊維をしっかり摂取
野菜、果物、海藻、きのこ、穀物の食物繊維は腸内環境を整え、大腸がんのリスクを下げることが知られています。
3. 運動習慣を持つ
週150分程度の適度な運動は、大腸がん予防にも効果的です。
4. 飲酒と喫煙を控える
アルコールや喫煙も大腸がんのリスク因子です。
5. 検診・内視鏡検査を受ける
若年であっても血便、便秘や下痢の持続、原因不明の体重減少などがある場合は、早めに内視鏡検査を受けることが大切です。
【まとめ】
赤身肉や加工肉はおいしく手軽に食べられる食品ですが、食べすぎることで大腸がん、とくに若年発症大腸がんのリスクを高めることが研究で示されました。
大切なのは「完全に避けること」ではなく、バランスよく、適量を守ること です。
当院では大腸カメラを通じて、ポリープの段階での早期発見・治療を行っています。
赤身肉や加工肉をよく食べる方、ご家族に大腸がんの既往がある方、便通異常など気になる症状がある方は、ぜひ一度ご相談ください。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医、総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
加工肉は適度な摂取とし、健診も受けましょう