グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ



HOME >  院長ブログ >  貧血の背景に重大な病気が潜んでいるかも・・・

貧血の背景に重大な病気が潜んでいるかも・・・


いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。

今回は貧血と消化器がんとの関連性についてご紹介します。

多くの方が一度は「貧血」と言われたことがあるかもしれません。
とくに女性に多くみられ、生理や偏った食生活などが原因と考えられることが一般的です。
この貧血は鉄欠乏性貧血といって、体内の鉄分が不足し、赤血球の材料であるヘモグロビンが十分に作られなくなることで起きる貧血であり、主な症状は以下の通りです。

・疲れやすい
・動悸、息切れ
・めまい、たちくらみ
・顔色が悪い
・爪が割れやすい

軽度の段階では自覚症状がほとんどなく、健康診断などで偶然見つかることも多いです。

【なぜ「がん」と関係があるのか?】
鉄欠乏性貧血が起こる理由には、大きく3つの要因が考えられます。

① 鉄の摂取不足(食生活)
② 鉄の吸収障害(胃の手術後、胃炎)
③ 慢性的な出血(女性の生理、消化管出血)

ここで問題となるのが③です。
胃や大腸などの消化管から少量ずつ長期的に出血している場合、その血液中の鉄が失われ、鉄欠乏性貧血を引き起こすことがあります。
そしてこの消化管出血の原因の一つに、消化器がん(胃がんや大腸がん)があるのです。

【消化器がんが鉄欠乏性貧血を引き起こす例】
実際の臨床では、以下のようなパターンでがんが見つかることがあります。

・「最近、立ちくらみが多い」との訴えで来院。
血液検査で重度の鉄欠乏性貧血を認め、大腸カメラを行ったところ、大腸がんが発見された。

・健診で「軽い貧血」と言われた50代男性。
胃カメラを行ったところ、胃の粘膜にやや荒れた領域があり、組織検査で早期胃がんが判明した。

特に注意が必要なのは、40歳以上の男性や閉経後の女性で鉄欠乏性貧血がみられた場合です。
このような方は生理といった明確な出血源がないため、消化管出血の疑いがあり、胃カメラや大腸カメラによる精密検査が推奨されます。

【鉄欠乏性貧血を見逃さないために】
以上のように鉄欠乏性貧血は決して高くはありませんが、がんの早期発見につながる可能性があります。
市販の鉄剤で貧血が一時的に改善しても、根本原因の解決にはなりませんので、貧血を指摘されたら放置せず、原因の精査をしてください。

【当院でできる検査と対応】
当院では、鉄欠乏性貧血が疑われる方に対して、以下のような検査や診療を行っています。

・詳細な血液検査(血清鉄・フェリチン・総鉄結合能など)
・胃カメラで出血性病変がないかチェック
・大腸カメラで出血性病変がないかチェック
・鉄剤の投与(内服や点滴)

【まとめ:貧血は「体からの小さなSOS」】
以上のように、貧血は単なる栄養の偏りだけでなく、身体のどこかに異常が潜んでいるサインであることがあります。
特に鉄欠乏性貧血は「目に見えない出血」の存在を疑う重要なヒントです。
症状が軽いからといって油断せず、「なぜ貧血になったのか?」という視点を持つことが、早期発見・早期治療につながります。

当院では、苦痛の少ない内視鏡検査を行い、患者さまの不安を最小限にしながら診断・治療を進めています。
健診で貧血を指摘された方、最近体がだるいと感じる方は、どうぞお気軽にご相談ください。


いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医、総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医

たかが貧血、されど貧血です