帯状疱疹ワクチンはどちらを接種すればいいの?
2種類あるのでわかりにくいですよね。
少しでも選択の助けになれればと思います。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。
2025年4月から帯状疱疹ワクチンの定期接種が開始となっています。
補助を受けられる対象者には自治体から予診票・クーポン券が郵送されていると思いますが、その対象者様から“どちらがいいの?”と度々、問い合わせを受けますので、今回はこの点について解説したいと思います。
なお、以下は磐田市での対象者になりますので、磐田市以外の方はお住まいの自治体のホームページでご確認ください。
まずは、定期接種の概要になります。
【定期接種対象者】
1. 年齢がA~Dのいずれかに該当する
A その年度内に65歳になる方
B その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳になる方(令和7~11年度までの5年間の経過措置)
C 101歳以上になる方(令和7年度のみ)
D 接種当日に60~64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障がいがある方
※身体障害者手帳1級または、1級程度であると医師が認めている場合に限ります。
2. 過去に帯状疱疹の生ワクチン、不活化ワクチンいずれの接種も受けていない方、または不活化ワクチンを1回のみ接種済みの方
【今年度の対象期間】
令和7年4月1日~令和8年3月31日まで
【接種金額(自己負担額)】
・生ワクチン
接種回数 1回
自己負担額(1回あたり) 4,500円
・不活化ワクチン
接種回数 2回
自己負担額(1回あたり) 16,500円 (2回接種するので計3,3000円)
次に2種類ある生ワクチンと不活化ワクチンの違いについてまとめた表をお示しします。
2025年4月から帯状疱疹ワクチンの定期接種が開始となっています。
補助を受けられる対象者には自治体から予診票・クーポン券が郵送されていると思いますが、その対象者様から“どちらがいいの?”と度々、問い合わせを受けますので、今回はこの点について解説したいと思います。
なお、以下は磐田市での対象者になりますので、磐田市以外の方はお住まいの自治体のホームページでご確認ください。
まずは、定期接種の概要になります。
【定期接種対象者】
1. 年齢がA~Dのいずれかに該当する
A その年度内に65歳になる方
B その年度内に70、75、80、85、90、95、100歳になる方(令和7~11年度までの5年間の経過措置)
C 101歳以上になる方(令和7年度のみ)
D 接種当日に60~64歳でヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障がいがある方
※身体障害者手帳1級または、1級程度であると医師が認めている場合に限ります。
2. 過去に帯状疱疹の生ワクチン、不活化ワクチンいずれの接種も受けていない方、または不活化ワクチンを1回のみ接種済みの方
【今年度の対象期間】
令和7年4月1日~令和8年3月31日まで
【接種金額(自己負担額)】
・生ワクチン
接種回数 1回
自己負担額(1回あたり) 4,500円
・不活化ワクチン
接種回数 2回
自己負担額(1回あたり) 16,500円 (2回接種するので計3,3000円)
次に2種類ある生ワクチンと不活化ワクチンの違いについてまとめた表をお示しします。
水痘ワクチン | シングリックス | |
種類 | 生ワクチン | 不活化ワクチン |
接種回数・間隔 | 1回 | 2回(2回目は2か月~6カ月以内) |
発症抑制効果 | 51.30% | 50歳以上:97.2% |
70歳以上:89.8% | ||
帯状疱疹後神経痛の抑制効果 | 66.50% | 50歳以上:100% |
70歳以上:85.5% | ||
持続期間 | 5年~10年 | 10年 |
注射方法 | 皮下注射 | 筋肉注射 |
(インフルエンザワクチンと同じ) | (コロナワクチンと同じ) | |
副反応 | 少ない | 多い |
打てない人 | ・ワクチンにアレルギーのある人 | ・ワクチンにアレルギーのある人 |
・妊婦 | ||
・免疫機能低下の病気の人 | ||
・免疫力を抑える治療を受けている人 | ||
その他 | 接種後2カ月は妊娠を避ける | 水痘ワクチンが打てない人でも接種可能 |
(参考:こどもとおとなのワクチンサイト 帯状疱疹、GSK社 ホームページ シングリックス)
(参考:厚生労働省 新型コロナワクチンQ & A 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種することはできますか)
これを大まかに解釈しますと
生ワクチンと比較して不活化ワクチンのメリットとしては効果が高く、持続期間も長いですが、デメリットとして2回接種する必要があること、副作用がやや高頻度であること、金額が高いことが挙げられます。
次によくある質問をQ&A方式でお答えします。
Q 帯状疱疹は、他人に感染する事はありますか?
A 帯状疱疹は体内に潜伏しているウイルスが原因で発症するため、他の人から帯状疱疹として感染する事はないと考えられています。
ただし、まだみずぼうそう(水痘)にかかったことがない人は、帯状疱疹の患者さんから伝染してみずぼうそう(水痘)として発症することがあります
Q 不活化ワクチン:シングリックスを注射すれば、帯状疱疹にかかることはないのですか?
A 不活化ワクチンを接種しても帯状疱疹の発症を完全におさえるわけではありません。
ただし、接種しておけば、発症しても症状が軽くて済みますし、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防にもつながります。痛みなどの後遺症が残るとQOL(生活の質)が著しく低下するため、ワクチンで帯状疱疹の発症を予防することはとても重要です。
Q 帯状疱疹ワクチンは新型コロナウイルスワクチンと同時に接種できますか?別々に打つ場合、間隔はどれくらいあければいいですか?
A 原則として、新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは同時接種ができません。そして、新型コロナワクチンとその他のワクチンは、互いに片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。
(インフルエンザワクチンだけは同時接種可能です)
不活化ワクチンの2回目の接種は1回目の2~6か月後なので、1回目接種と2回目接種の間に新型コロナウイルスワクチンを接種することも可能です。
なお、生ワクチンを接種し、他の生ワクチンを接種する場合には27日間の間隔をおく必要があります。
Q 水ぼうそうにかかったことがないのですが、ワクチンを打っておくべきですか?
A 水ぼうそう(水痘)は罹患しても自覚がないことがあります。
日本の成人のおよそ9割は体内に水痘・帯状疱疹ウイルスを持っていると考えられているため、水ぼうそうに罹患した自覚がなくても帯状疱疹を発症する可能性は否定できません。
帯状疱疹の発症率は加齢に伴って高くなり、80歳までに3人に1人は発症するといわれています。
そのため、水ぼうそう罹患歴がない、あるいは不明な場合でもワクチンを接種することは有意義であると考えられます。
Q 最近、帯状疱疹になったのですが、ワクチンを打つ意味はありますか?
A 帯状疱疹発症歴がある場合、すでに抗体を獲得している可能性がありますが、徐々に低下してきますので、5年経過した後に接種することをおすすめします。
Q 生ワクチンを既に接種していた場合で、不活化ワクチンの接種はできますか?
A 帯状疱疹生ワクチン接種歴の有無に関わらず、不活化ワクチン接種によって免疫応答は上昇します。
ACIP(米国に於ける予防接種の実施に関する諮問委員会The Advisory Committee on Immunization Practices)では、帯状疱疹生ワクチンの接種歴のある成人に対して、不活化ワクチンの接種が推奨されています。
一般的には生ワクチンを接種後、効果が低下してくる5~10年後に勧められています。
Q 不活化ワクチンの2回目の接種時期である2ヶ月を超えてしまいました。効果はありませんか?
A 2か月間隔で2回の接種を行うことが推奨されていますが、止むを得ない理由で2ヶ月を超えてしまった場合は6ヶ月以内なら問題ありません。
論文では、2ヶ月後に2回目を接種した場合と6ヶ月後に接種した場合とで比較したところ、どちらでも同等の免疫応答が認められたと報告されています。
以上、2つの帯状疱疹ワクチンについて解説しました。
最後に
“結局どちらを接種すればいいの?”という問いに対しては、どの点を優先させるかに注目すれば決めやすいかと思います。
・とにかく高い予防効果を期待したい
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・長い間予防効果を持続させたい
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・妊娠中や免疫を抑える治療を受けている
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・副反応は極力抑えたい
➡ 生ワクチン
・接種回数は1回で済ませたい
➡ 生ワクチン
・なるべく費用を抑えたい
➡ 生ワクチン
これらを参考にしてどちらか決まりましたらTELもしくは直接受付でご予約ください。
なお、定期接種対象者の場合は接種日にクーポン券のシールを剥がさず、切り取らずに持参してください。
因みに、定期接種対象者になるまで待てず任意で接種を希望する場合には当院では生ワクチンは7000円、不活化ワクチンは1回目:25000円、2回目:17000円で接種が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医、総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
(参考:厚生労働省 新型コロナワクチンQ & A 新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは、同時に接種することはできますか)
これを大まかに解釈しますと
生ワクチンと比較して不活化ワクチンのメリットとしては効果が高く、持続期間も長いですが、デメリットとして2回接種する必要があること、副作用がやや高頻度であること、金額が高いことが挙げられます。
次によくある質問をQ&A方式でお答えします。
Q 帯状疱疹は、他人に感染する事はありますか?
A 帯状疱疹は体内に潜伏しているウイルスが原因で発症するため、他の人から帯状疱疹として感染する事はないと考えられています。
ただし、まだみずぼうそう(水痘)にかかったことがない人は、帯状疱疹の患者さんから伝染してみずぼうそう(水痘)として発症することがあります
Q 不活化ワクチン:シングリックスを注射すれば、帯状疱疹にかかることはないのですか?
A 不活化ワクチンを接種しても帯状疱疹の発症を完全におさえるわけではありません。
ただし、接種しておけば、発症しても症状が軽くて済みますし、帯状疱疹後神経痛などの後遺症の予防にもつながります。痛みなどの後遺症が残るとQOL(生活の質)が著しく低下するため、ワクチンで帯状疱疹の発症を予防することはとても重要です。
Q 帯状疱疹ワクチンは新型コロナウイルスワクチンと同時に接種できますか?別々に打つ場合、間隔はどれくらいあければいいですか?
A 原則として、新型コロナワクチンとそれ以外のワクチンは同時接種ができません。そして、新型コロナワクチンとその他のワクチンは、互いに片方のワクチンを受けてから2週間後に接種できます。
(インフルエンザワクチンだけは同時接種可能です)
不活化ワクチンの2回目の接種は1回目の2~6か月後なので、1回目接種と2回目接種の間に新型コロナウイルスワクチンを接種することも可能です。
なお、生ワクチンを接種し、他の生ワクチンを接種する場合には27日間の間隔をおく必要があります。
Q 水ぼうそうにかかったことがないのですが、ワクチンを打っておくべきですか?
A 水ぼうそう(水痘)は罹患しても自覚がないことがあります。
日本の成人のおよそ9割は体内に水痘・帯状疱疹ウイルスを持っていると考えられているため、水ぼうそうに罹患した自覚がなくても帯状疱疹を発症する可能性は否定できません。
帯状疱疹の発症率は加齢に伴って高くなり、80歳までに3人に1人は発症するといわれています。
そのため、水ぼうそう罹患歴がない、あるいは不明な場合でもワクチンを接種することは有意義であると考えられます。
Q 最近、帯状疱疹になったのですが、ワクチンを打つ意味はありますか?
A 帯状疱疹発症歴がある場合、すでに抗体を獲得している可能性がありますが、徐々に低下してきますので、5年経過した後に接種することをおすすめします。
Q 生ワクチンを既に接種していた場合で、不活化ワクチンの接種はできますか?
A 帯状疱疹生ワクチン接種歴の有無に関わらず、不活化ワクチン接種によって免疫応答は上昇します。
ACIP(米国に於ける予防接種の実施に関する諮問委員会The Advisory Committee on Immunization Practices)では、帯状疱疹生ワクチンの接種歴のある成人に対して、不活化ワクチンの接種が推奨されています。
一般的には生ワクチンを接種後、効果が低下してくる5~10年後に勧められています。
Q 不活化ワクチンの2回目の接種時期である2ヶ月を超えてしまいました。効果はありませんか?
A 2か月間隔で2回の接種を行うことが推奨されていますが、止むを得ない理由で2ヶ月を超えてしまった場合は6ヶ月以内なら問題ありません。
論文では、2ヶ月後に2回目を接種した場合と6ヶ月後に接種した場合とで比較したところ、どちらでも同等の免疫応答が認められたと報告されています。
以上、2つの帯状疱疹ワクチンについて解説しました。
最後に
“結局どちらを接種すればいいの?”という問いに対しては、どの点を優先させるかに注目すれば決めやすいかと思います。
・とにかく高い予防効果を期待したい
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・長い間予防効果を持続させたい
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・妊娠中や免疫を抑える治療を受けている
➡ 不活化ワクチン:シングリックス
・副反応は極力抑えたい
➡ 生ワクチン
・接種回数は1回で済ませたい
➡ 生ワクチン
・なるべく費用を抑えたい
➡ 生ワクチン
これらを参考にしてどちらか決まりましたらTELもしくは直接受付でご予約ください。
なお、定期接種対象者の場合は接種日にクーポン券のシールを剥がさず、切り取らずに持参してください。
因みに、定期接種対象者になるまで待てず任意で接種を希望する場合には当院では生ワクチンは7000円、不活化ワクチンは1回目:25000円、2回目:17000円で接種が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長 井坂利史
日本内科学会認定 内科認定医、総合内科専門医
日本消化器病学会認定 消化器病専門医
日本消化器内視鏡学会認定 消化器内視鏡専門医
日本消化管学会認定 胃腸科専門医
日本ヘリコバクター学会認定 ピロリ菌感染症認定医
ワクチン接種で後遺症のリスクを軽減しましょう