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ピロリ菌は内視鏡で見えるの?


いさか内科・消化器内視鏡クリニック院長の井坂です。

“ピロリ菌は実際に見えるのですか?”と時々聞かれますので、今回はこのピロリ菌の診断について解説します。
ピロリ菌は内視鏡で実際に見えるわけではありませんが、感染している場合には胃の粘膜に様々な所見が見られます。
その際には下記のいずれかの検査を行い、ピロリ菌感染の確定診断をすることになります。

・内視鏡を使う診断方法(胃の粘膜の一部を採取します)
「迅速ウレアーゼ試験」
胃の組織を使ってピロリ菌が作り出すアンモニアによる反応の有無を試薬で調べます。
「鏡検法」
組織中のピロリ菌の存在を顕微鏡で診断します。
「培養法」
胃の組織を培養して、ピロリ菌が増えるかどうかを調べます。

・内視鏡を使わないピロリ菌の診断方法
「尿素呼気試験」
ピロリ菌の特性を利用し、吐く息(呼気)に含まれる二酸化炭素の濃度を測定することで調べます。
主に除菌の効果判定に用いられます。
「抗体法」
血液もしくは尿の中のピロリ菌に対する抗体を調べます。
「糞便中抗原測定」
便の中に含まれるピロリ菌の抗原を調べます。主に除菌の効果判定に用いられます。
 
では、「ピロリ菌に感染していない胃」と「ピロリ菌に感染している胃」では内視鏡検査では一体何がどう違うのでしょうか。
・ピロリ菌に感染していない胃
表面は平滑で光沢や艶があり、粘液はさらさらとしており、水洗にて容易に粘液は除去できます。
また、胃のひだは細く真直ぐに走行しているのが特徴です (図1) 。

図1 ひだは直線状で粘膜もきれいです

・ピロリ菌に感染している胃
粘膜がごつごつしてきたり(図2)、赤く斑点が見られたり(図3)、粘調性の高い粘液が付着したり、胃のひだが太く蛇行してきたりと様々な所見が見られます。進行すると粘膜が薄くなって(萎縮)ひだがなくなってしまいます(図4)

図2 鳥肌が立ったように粘膜がブツブツしています

図3 赤い斑点が多く見られます

図4 ひだがなくなって血管が透けて見えます

これらピロリ菌のいる胃に見られる所見は”胃炎の京都分類”として広く内視鏡医に知られています。
私も必ずこの”胃炎の京都分類”を意識したリスク評価をして、除菌の提案や適切な内視鏡間隔の提示に役立てています。

いさか内科・消化器内視鏡クリニック 院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医
               総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医

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