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便潜血検査(+)の放置は危険!


2023年 あけましておめでどうございます。

いさか内科・消化器内視鏡クリニックの井坂です。
今までこのブログでは開業準備の内容を中心に投稿してきましたが、新年を迎え、開院まで半年をきってきましたので、本来お伝えしたい内容つまり医療についても適宜投稿していきたいと思います。
今回その第一弾として“便潜血検査(+)”について解説致します。

便潜血検査は健診やドックなどで、便を採取して血が混じっていないかを調べる検査で、大腸がんの一次検診に位置付けられます。
具体的には、2回採取した便を調べて1日でも(+)になれば、“要精査”の判定になります。
痔があったり、たまたま硬い便で肛門が切れたりしても(+)となりますが、検査を受けた1万人のうち、665人が(+)と診断され、そのうちの19人に大腸がんが見つかったと報告されています。
日本人の死因の第1位はがんですが、そのうち大腸がんは肺がんに続き第2位、特に女性においては第1位となっており、深刻な状況です。
ただし、早期発見・早期治療ができれば生存率は8割を超えるがんでもあります。
その早期発見・治療には大腸内視鏡検査(大腸カメラ)が欠かせません。
内視鏡を受けた方のうち、30~40%に異常は認めませんが、30~40%にポリープが見つかっています。
このポリープにはいくつか種類がありますが、腺腫という種類が徐々に大きくなってその一部分からがん化してくるのが、大腸がん発生の最もメジャーなルートといわれています。
この腺腫は10mmを超えてくるとがん化する確率が高くなってきますので、それより小さい段階で切除すれば、がん化へのリスクを未然に防ぐことができます。
たとえ既にがん化していても、早期の段階であれば内視鏡による切除で治癒できます。
(2012年のNew England Journal of Medicineに掲載された『内視鏡的大腸ポリープ切除は大腸癌による死亡率を53%下げる』の論文は信頼性の高いエビデンスとして支持されています)

一方で、この便潜血検査の問題は、その低い受診率もさることながら、(+)の人の中で半分の人しか精査を受けていないということです。
痔があるから、生理前後だったから、1回だけの(+)だからという自己判断や、そもそも恥ずかしいし、大腸内視鏡は大変と聞くという理由で二次検査を受けない方が多いと予想されています。
そこで放置していたらせっかくの検診の意味がありません。
また、便潜血検査の再検を希望される方がいらっしゃいますが、これも意味がありません。
再検で(-)だったから大丈夫ということは全くないのです。
便潜血検査自体は便の一部分に血が混じっているか調べる検査なので、進行の大腸がんがあったとしても(-)のことがありますし、それより小さいポリープならなおさら(-)になる可能性があるからです。
このように便潜血検査は一次健診として有用ですが、(+)でも必ず病変があるわけではありませんし、(-)でも病変がないとも言い切れません。
あくまできっかけにすぎません。
そのきっかけを半数の方が放置してしまっているということになります。
私は常日頃この状況を打破したいという思いがあったのですが、結局、便潜血検査自体の啓蒙と大腸内視鏡を担当する医師のマンパワーに依存するという問題点に行きついてしまいます。
この問題点の解決に少しでも寄与したいと思い、内科・消化器内視鏡クリニックを開院しようと決意した次第です。
大腸内視鏡検査は、午前中から下剤を内服して午後に検査を受ける、半日から1日がかりの検査です。
ここで当クリニックでの大腸内視鏡検査の特徴をご紹介したいと思います。
① 経験豊富な専門医が実施
検査は全て消化器内視鏡専門医である院長が実施します。
今までの経験と知識を活かして高度な検査を心がけます。
② 患者さんのプライバシーに配慮した完全個室
室内にはリクライニングチェア、テレビ、Wi-Fi、トイレが備えてありますので、ゆったりと安心して前処置用の下剤の内服ができます。
③ 検査日の設定
仕事で平日の都合がつきにくい方のために土曜日の検査枠を用意しています。
また、完全個室とはいえ男性が隣の部屋にいることが気になる女性のために水曜日は女性のみのレディースデーとしています。
④ 精査から治療へ一気通貫
ポリープが見つかった場合は、拡大機能および特殊光を用いて詳細な観察を行い、適応ありと判断すれば、そのまま内視鏡的ポリープ切除術(日帰り手術)を行います。つまり、精査と治療を一気通貫で行うことができます。
⑤ 少しでも苦痛の少ない検査
基本的には意識のある状態で検査を行いますが(ご自身でモニターに映る大腸の様子を見ることができます)、ご希望がある場合には、鎮静剤を使用して半分眠った状態で検査を受けて頂くことも可能です。
なお、観察の際には内視鏡から空気を入れて腸管を拡げる必要性がありますが、当院では二酸化炭素を用います。二酸化炭素は空気に比べて吸収が早いため、検査中も検査後もお腹の張りが明らかに軽減されます。
⑥ 検査後もゆったり
検査後はリカバリールームにある専用ベッドで十分に休むことができます。
その後、診察室にて結果をご説明します。
ポリープを切除した場合には後日に病理結果をご説明します。

以上、便潜血検査の結果の解釈と精査の必要性、そして当クリニックの特徴について説明しました。
便潜血(+)を放置している方、前回は(+)だったけど今回は(-)だったからと放置している方、一度お気軽にお問い合わせ下さい。
今まで何人も“大腸内視鏡を受けてよかったねえ”という場面に遭遇しました。
もっともっとその場面を増やしたいと思っています。

最後に
40歳を越えるとポリープの発生率が上昇し、大腸がんのリスクも上昇してきますので、便潜血検査が(-)で特に症状もない場合でも、40歳を越えたら一度は大腸内視鏡検査を受けてみることをお勧めします。
(かくいう私も47歳で初めて受けましたが・・)

いさか内科・消化器内視鏡クリニック 院長 井坂利史

日本内科学会認定       内科認定医
               総合内科専門医 
日本消化器病学会認定     消化器病専門医  
日本消化器内視鏡学会認定   消化器内視鏡専門医 
日本消化管学会認定      胃腸科専門医 
日本ヘリコバクター学会認定  ピロリ菌感染症認定医